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2016年11月15日 (火)

日本(フランス国外)に所有している銀行口座の届出

MixiのAuto-entrepreneursコミュに、昨年こんなふうに書いた。


取引による支払いの有無を問わず、日本国内に銀行口座を持っている人は、その口座をフランスの当局に届けていますか? あんまり脅かしたいわけではないですが、フランス在住の日仏夫婦の方が、何かのきっかけで日本に口座を持っていることが発覚して、罰金を払うことになった、という話を弁護士さんから聞いたことがあります。 

外国に所有する口座の申告義務(およびそれにまつわる罰則など)のことは自分には関係ないのであまりきっちり調べていないのですが、たとえば日本の口座に不動産収入があるとか、親族から入金があるとか、あるいは仕事の報酬が入金されるとか、そういう人はとくに気をつけていらっしゃると思うのですが念のため(単なる老婆心)


ちょっとタイミングを逃してるけど、書いておこう。MixiのAEコミュに書いたこととダブる部分もあるけど、フランスでAEやMEで営業している人を対象として書いてみる。


今年も所得税の申告前の時期に会計協会の講習会に行った。講師として来ていた弁護士が「外国に銀行口座を持っているなら申告しておけ」と言っていた。受講者の反応を見る限り、フランス人も、申告しなきゃいけないとは知らないみたいだった(毎年そこで騒ぐ人がいるので、本当にみんな知らないようだ)。弁護士によると、外国に開設した口座の申告義務はもう何十年も前からあるらしい。

以下、弁護士が講習で話した内容を思い出しながら大まかに書いてみる。

外国の口座は所得の申告と同時に申告できる。申告していない口座の存在が発覚すると罰金を科せられる可能性がある。未申告の時効は4年、入金があった場合の時効は10年。つまり、罰金も4年ないし10年前まで遡って科せられる可能性がある。罰金の金額は口座ごとに算出されるので、もし口座が2つあれば2倍、3つあれば3倍になる。罰金は口座残高にパーセンテージをかけて算出される。最低1500ユーロ(国によっては10000ユーロの場合もある)。

口座の申告は、口座を持っている限り毎年行う。仮に今年(2016年)口座を閉じたとしても、来年(2017年)の申告時に2016年中に口座を閉じたと申告しなきゃならない。

たとえば10年前に1年だけ留学していて学費や家賃の支払いのためだけに開いたような口座、すっかり記憶の彼方にあるような口座であっても、所有していると言われればたしかに所有しているのだから、すべて申告しなきゃいけないし、不要になった口座は閉じておくのがいいんじゃないか。 

日本の銀行だと総合口座と呼ぶのか、普通預金口座と定期預金口座(貯蓄用口座)がセットになったものがあるので、セットになった定期預金口座も申告しなきゃならない。 

申告用紙は3916号。ネットからも申告できる。

今の時期は「Déclarer」のページにアクセスできないのでうろ覚えで書くけど、サイト(http://www.impots.gouv.fr/portal/static/)の右上の「Particulier」からログインして「Déclarer」のページに行くと、身元情報に変更があるかないかを尋ねるページがあって(年度途中に結婚離婚があったり、子供が生まれたり独立したりしたら変更するページ)、その次に、どの収入を申告するか(給与所得、事業所得、不動産所得など)を 
選ぶ欄が出てくるはず。それはつまり、どの申告用紙に記入(入力)したいかを選ぶことになる。選択肢の中に「déclaration par un résident d'un compte ouvert hors de France(N°3916)」も入っているはずなので、申告すべき人はこれにもチェックを入れる。もしも3916が見当たらないなら、Annexesのあたりを見ていけばいいんじゃないかなー。 

入力を進めていくと、3916のページも出てくる。 
http://www.impots.gouv.fr/portal/deploiement/p1/fichedescriptiveformulaire_6165/fichedescriptiveformulaire_6165.pdf
これと同じページが開くはず。 

すでに口座を申告してあるなら過去の情報が入っているはずなので、その口座を維持しているならそのままでよく、追加や削除があるなら、それを申告する。 

大まかな流れはこんな感じ。 


受講生の中には、口座の開設日を確認できる書類を今も手元に持っているかどうか分からないという人もいたが、日にちが分からなくても、とにかく申告はしたほうがいいらしい。

そして、たとえばフランス在住者が日本に貯蓄口座を持っていて、その口座に利息が発生している場合、日仏租税協定に基づくと、その利息(=収入)をフランスで申告しなきゃならない。

生計をともにしている子供名義の口座がフランス国外にある場合も、3916号で申告。所得税は、たいていの場合は夫婦(やそれに準ずる人たち)の連名で申告することになっているので、1のIdentité du déclarant(申告者)の欄はどちらかの名前で申告すればよい。 

2のVous [ou l'un des membres de votre foyer fiscal] êtes titulaire d'un compte ouvert à l'étranger(外国に開設された口座の名義人)の欄に、口座の名義人について記入。2.1が個人の口座、2.2が事業用口座なので、子供なら2.1に記入。 

4の欄に口座の種類、口座番号、口座がある銀行の情報などを記入。 

3916の記入上の注意を読むと、共同名義口座の場合は1の申告者も共同、2の名義人も共同として記入しなきゃならないようだ。 


日本の家族が会社を作っていて自分もその一員になっている(そして会社名義の口座がある)ような場合、どんなふうに申告すればよいかは弁護士に相談。


口座の申告から少しそれるけど、弁護士が言うには、たとえばフランスに外国人が住んでいて、フランスで納税するのか否か、フランスで所得を申告するのか否かを判断する際の基準は滞在日数だけでなく、重要な経済的なポイントがフランスにあるかどうか(たとえばフランスに不動産を所有していて、大きな家賃収入があるなど)も判断基準になるとのことだった。

逆に、フランスから年金をもらいつつ外国に暮らしている人がいた場合、その人の現在の収入源がこの年金しかない場合はフランスで納税するべきなんだそうだ。


口座を所有していることと、外国で所得を得ていることがごっちゃになってしまうのだけど、外国にある口座や外国で得た所得を申告したことを指して「発覚」とは言わない。

でも、所有している口座に何らかの理由で入金があり、その「所得」が申告されていない場合は、口座未申告の罰金ではなく、そちらの申告漏れを理由に罰せられる可能性もある。 

だから、もしも、現時点で未申告の口座があって、そちらに(理由は何であれ)入金があるなら、修正申告などをしておいたほうがいいのかもしれない。その場合は、たぶん、自力で解決するよりも弁護士に相談したほうが確実だと思う。必要ならば、過去何年か遡って修正申告できるようなので、やっぱり弁護士に任せるのがいいんじゃないか。


あと弁護士さんが言うには、実際に罰せられるケースが増えているというか、昔なら注意だけで見逃してもらえたような額しかない口座だとしても近年は罰金が科せられるようになっているらしい。 

とはいえ、国が国民(住民)に口座を申告させたい理由を考えてみたら、一般庶民はあまり怖がることはないと思う。 
要は、 
-課税できるはずの所得を漏れなく把握したい、 
-マネーロンダリングを防ぎたい、 
-テロ組織などに資金が流れるのを防ぎたい、 
ということなので、仮に日本の口座に入金があったとしても資金源(と書くと大袈裟だけど、たとえば親がくれたお金とか自分の貯金とか)がはっきりしていればOK。 

その入金がフランスで課税対象になるのなら、そういうタイプの所得として申告、フランスでは課税対象にならないはずのものなら、そのような所得として申告。(このあたり、自分でやったことがないのでぼんやりした書き方になってしまう) 





私は、日本の会社と直接取引をする時は、フランスの口座に入金してもらっている。支払いの段になってから揉めないように、仕事を引き受ける前に必ず取引先に確認している。

日本向けにモノを売る人は、フランスの口座に入金してもらうなんて難しいと思うかもしれない。私が日本からモノを買おうと思ったら日本に入金するのだから(だってそうしなきゃ買えないわけだし)、当然の顔をしてフランスに入金してもらってもいいんじゃないのと思うのだけど。。。

金額によってはペイパルを使うのもひとつの方法だと思うし、何度か郵便為替で送金してもらったこともある。もしかしたら、こちらが多少の手数料を払うことになるかもしれないし、相手が勝手に(合意に反して?)送金手数料を差し引いた金額を振り込んでくるかもしれない(よく聞く話)。
そんなこんなの経験を経て、自分にとっての適正価格が決まってきたり、長く付き合っていける取引先が選別されていくのかもしれない。 

ペイパルの話をすると、手数料がかかる、レートが悪いなどと返ってくることもあるのだけど、ペイパル利用にはデメリットしかないわけじゃない。相手にとっての払いやすさも大事だけど、こちらの受け取りやすさ(や換金しやすさ)も考慮するなら、日本の口座に日本円で入金してもらうよりもペイパルのほうが楽かもしれない。また、海外送金手数料を誰が負担するかで取引先との交渉にわずらわされたくなくて、どうしても自分が手数料を負担することで合意した場合も、一般的に銀行からの送金よりもペイパルのほうが手数料は低くて済むんじゃないか(金額によるので比較検討が必要か)。

過去の取引を思い出してみると、郵便為替で送金してもらったことがある。初めて郵便為替で受け取った時は、お客さんのほうから提案してくれたのでそれに乗った。その後、ダメもとでこちらから言ってみたら、お客さんがそれに乗ってくれたこともある。提案されなかったら、そんな方法があるとは知らなかったのだけど、手数料を安く抑える方法は他にもあるかもしれない。

そもそもの話をするなら、フランスに定住している人が(日本の住民票を残しているか否かの話ではなく)日本在住者として日本に銀行口座を持つことはできないはず。だから非居住者用口座に切り替える・非居住者用口座を新規開設する、ということになると思うのだけど、非居住者用口座にたとえば物を売った代金を入金してもらう、といったことが可能なのかどうか。この点は自分ではまったく確認していないので、的外れな心配をしているのかもしれないけれど。。。

さらにそれてしまうけど、日本・フランス間の資金移動に関する話としては、数年前に、フランスで不動産などの大きな買い物をするために、日本からある程度まとまった金額を送金する際、送金手数料を安く抑えるために銀行間送金以外の方法で送金しようとして、結局受け取れなかった話を聞いたことがある。 

その方法というのが・・・ご当人から話を聞いたのだけどクリアに理解できた気がしない。ウエスタンユニオンみたいなサービスを利用した、とおっしゃっていたのだけど、そのサービス名を今ググってみてもうまくヒットしないのでここでは伏せておく。

そのサービスの取扱い限度額の関係で、3~4回に分けてフランス国内の口座に送金したそうだ。1回目の入金は確認できたが、2回目以降はフランスの銀行が受取りを拒否し始めた。その理由は「資金源が不明」。かなりの金額が短期間のうちに複数回送金されてきたので、フランスの銀行がマネロンを疑ったみたい。 

ご当人は、自分名義の日本の口座からそのサービスに入金して送金指示を出したのだから資金源は明白だ、とおっしゃるのだけど、フランスの銀行は、日本の銀行から直接フランスに送金されたのでなければ資金源として認めない。(プラス日本での取引記録、入金記録などを提出する必要あり) 

間にサービス会社を挟んだせいで、資金の流れをたどれなくなってしまったせいなのか。

というようなことがあったので、ほんとに余計なお世話だけど(特定の誰かに向かって言うわけでもないけど)手数料の安いマイナーな送金方法には落とし穴があるということで要注意。

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コメント

はじめまして。ふとしたきっかけで、つい先日日本の口座申告義務があると知り、検索でたどりついたこちらが大変参考になりました。ありがとうございます。ほぼ預金ゼロの口座もいくつかあり、それがどこだったかも思い出せない始末で、どうしようかとフランスの情報も探していたところこのような記事が。http://paulduvaux.com/item/492-comptes-etrangers-nouvelles-regles
昨年末に書かれたもののようなのですが、私の読解力では自信がありませんが、この罰金がなくなった?もしくは無くなる方向で検討中とかなのでしょうか?
もしご興味ありましたら一度ご覧になってみていただけますか?
きっかけはこのようなことでしたが、フランス暮らしの知りたいところが丁寧に綴られているこちらのブログ、またゆっくりと他のページにもお邪魔したく存じます。突然失礼いたしました。

投稿: 金子 | 2017年5月21日 (日) 00時00分

記事を読んでくださって、またコメントくださって、ありがとうございました。

教えていただいたリンク先の記事を読んでみたところ、未申告の口座があった場合の罰金の額について、口座残高に対するパーセンテージで算出するのをやめる法案が出ている、という話でした。それは言い換えると、私の記事の中の「最低1500ユーロ(国によっては10000ユーロの場合もある)。 」の部分は維持される、ということのようです。

パーセンテージでの算出をやめる話が出ているのは、昨年、憲法院が、口座未申告に対する罰金をパーセンテージで算出することは違憲であるという決定を下したことがきっかけのようです。憲法院はパーセンテージの部分は違憲と判断したけれど、罰金そのものを違憲と考えたわけではないようですね。(申告義務に強制力を持たせておくために、罰金あるいは何らかのペナルティ自体がなくなるとは考えにくい)

今日(5月24日現在)確認できる公的情報を見ますと、外国にある銀行口座の申告用紙(3916号)の注意事項に1500ユーロ(または10000ユーロ)の罰金について書いてあります。
https://www.impots.gouv.fr/portail/files/formulaires/3916/2016/3916_215.pdf

財務省の説明ページでも罰金の項はキープされています。
http://bofip.impots.gouv.fr/bofip/580-PGP.html
(215の段落以降)

というわけなので、まずは、口座に関する情報をできる限り調べて申告するのがよいと思われます。日本のご実家などに、銀行から何か手紙やDMなどが届いていればいいのですが。。。銀行の合併などがあった時に何か通知が届きませんでしたか?

投稿: cocotte | 2017年5月22日 (月) 14時44分

cocotte様
お目通しくださったんですね! ありがとうございます。やはり私の見立ては希望的観測だったようで、正しく解説してくださって助かりました。とはいえ気づいた時点で申告しておいたほうがいいかと思い、わかる口座は昨日入力いたしました。この点でも詳しい解説に随分と助けていただきました。あとは学生時代に作ったようなもので、その後吸収合併などもあり(年齢的にそんな感じです)実家もなく辿れないので、もし罰金が来たら仕方ありません。申告したものも、結構古いものなので…
実は、今年度分から各国間の口座情報交換が始まるというのを聞いて、色々調べていたら、海外口座申告の義務があると知りました。口座の情報交換に、私のようなほとんど空っぽの口座も対象になるのかわかりませんが、念のため。というわけで、今回こちらのブログに大変お世話になり、ありがとうございました。

投稿: 金子 | 2017年5月22日 (月) 15時18分

cocotte さん 以前、専門用語(製パン、製菓)の翻訳の記事でコメントさせていただいたことがあります。
昨年末、久しぶりに貴ブログを拝見したら、日本に所有している銀行口座の申請について書かれてあり、初耳だったのでびっくりして慌てているところです。今年の確定申告の際にやった方がいいかなと、先日日本帰省した際に、日本で所有している口座番号と口座開設日を調べあげてきました。
そろそろ確定申告の締め切りなので、いよいよ申告手続きをしなければなりません。
日本であれば、5千万円以上の海外資産は申告しなくてよい、という枠があるようですが、本件、金額にかかわらず申告義務があるのですよね。
何か、最新情報をご存知でしたら教えてください。
しかし、周りの在仏日本人もフランス人も、誰もこの申告義務を知りません。cocotteさんの記事を読まなかったら、知らずにいたところでした。情報ありがとうございます。

投稿: kiki | 2018年5月30日 (水) 21時25分

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