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2009年6月

2009年6月 5日 (金)

翻:6月1日~5日

何件か問い合わせがあったんだけど、1つは自分の手には余る専門的なものなので断り、それ以外のものはソースクライアントの回答待ち・・・だけど、他の人に頼んだんだろうなあ。

1日(月)
祝日なのか何なのかよく分からない日(調べるの面倒臭い)

化粧品関連(仏日630語)
最近続けて来ているシリーズ。

化粧品関連(仏日80語)
こちらはアップデート部分のみ。


2日(火)
3日(水)
部屋の中の気に入らない感じだった部分を模様替えした。部屋が狭いから、模様替えするといっても限度がある。夫のパソコン周辺は勝手に動かせないしなあ。(自分のはコードの届く範囲で適当に動かすけど)


4日(木)
雇用証明など(日仏2件)
直接お渡しした。

特別講義のため、久し振りに学校に行った。


5日(金)
判決の抜粋(仏日200語)


持ち越すもの1件。


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2009年6月12日 (金)

立腹

久々にムカつくサポセンに遭遇した。サポセンといっても、今回は某月刊紙の顧客サービス係だ。無用の紛争を避けるために、名前は伏せておこう。

前期の論文を書くために、ちょっと古い新聞記事を参照したくてその月刊紙のオンラインサービス(有料)に申し込んだ。過去の記事を検索して閲覧するには、このサービスに加入する必要があったからだ。加入して、ありがたく利用させてもらった。

論文を書いてしまえば、このサービスは不要なので解約することにした。サイトの説明によると、Eメールで解約希望であることを伝えれば、折り返し確認メールが届くので、確認メールに記載されているURLをクリックして手続き完了せよ、とのことだった。指示にしたがってメールを出した。1ヶ月待っても折り返しの確認メールが来なかった。念のために別のメールアドレス(別のメールサーバ)からもう一度メールを送ってみた。2週間待ったがやっぱり確認メールが来ない。そして、会員ページを見ると私は相変わらず登録されたままだし、利用料もきっちり引き落とされている。

サイトを隅々まで探してみると、顧客サービス係の電話番号があった。郵便を送る前に電話してやれと思って電話をしてみた。解約手続きを尋ねると、サポセンからは「メールで」という回答。もう2回送ったが返事がないのだと伝えると、私の会員番号から検索して「あら(紙版ではなく)オンライン版なのね」と言いながらサポセンが解約手続きをしてくれた。解約されたのはいいんだけど、なんだか納得いかないじゃないか。

私「サイトにはメールで手続きと書いてありましたよね? 宛先が間違っていたんですか?」
サポセン「そうじゃないけど、あなたオンライン版だから」←サイトの案内にしたがってオンライン版の利用をオンラインで申し込みましたが何か?
私「宛先が正しいなら、メールは届いているんですか?」
サポセン「届いているけれど、処理されていなかった」←最初のメールは3カ月近く前に送ったのに? 
私「なぜ?」
サポセン「もう解約は完了しました(だから、これ以上話す必要はないでしょ)」

うがー!ムカつく!!

毎月の利用料は数ユーロであなた方にはたいした金額じゃないかもしれないけれど、私にとっては大金だし、2ヶ月分余分に払うことになったし、下手したらさらにもう1ヶ月分払うところだったじゃないか!!と言いたかったけれど、サポセンとの通話は無料じゃないことを思い出し、なんとか踏みとどまった。

他の人たちが同じ被害に遭わないように大声で知らせて回りたいくらい。でも、これがどの月刊紙なのかは重要じゃないんだよな。こんな話どこにでもあるから。

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翻:6月8日~13日(同じトライアルを複数の会社から依頼される)

今週はそこそこ仕事があって、問い合わせもそれなりにあった。

8日(月)
商品案内(仏日550語)
先日から続けて来ているもの。

化粧品関連(仏日)
アップデート部分のみ。


10日(水)
判決の送達(仏日2800語)
書留郵便で返送。それと、お客さんからの要望で、万が一郵便事故があった時のためにスキャンしてメールで送った。スキャナーの設定がちゃんとできていないのかもしれないけれど、1枚スキャンするたびにスキャンソフトが閉じてしまう。急いでスキャンしたい時に毎回立ち上げ直すのは面倒。

安全マニュアル(仏日120語)
アップデート部分のみ。

何件か電話で問い合わせがあった。電話で喋るの、ずいぶん久し振り。


11日(木)
プリンタ関連(仏日220語)
先日から続けて来ているもの。

判決の抜粋(仏日200語)
先週納品したのとまったく同じものが、別の会社からまわってきた。先週の会社からは何も言われていなかったんだけど(いつもと同じ料金だった)、今回は「これはトライアルだ」と最初に言われた(こちらもいつもと同じ料金)。

黙っているのもフェアじゃないような気がしたので、別の会社から頼まれてすでに同じものを翻訳したことを申告した。それでもいいから、やってくれと回答があった。どういうトライアルなのか意味がよく分からないけれど、ソースクライアントからの案件獲得のためなんだとしたら、新たに他社にトライアルがまわってきているということは、先週納品した翻訳がソースクライアントの気に入らなかったってことになるもんな。(ソースクライアントが今後仕事を頼めそうなエージェントをいくつか選びたいと思って、複数の会社にコンタクトを取っている可能性もなくはないけど、自分がソースクライアントの側だったら、そんな面倒なことをするかなあ?)

ま、まったく同じファイルを使いまわしてお金をもらうのもどうかと思ったので、時間をかけて見直し、手直ししてから納品したけど、前のがダメなら2回目のもダメそうな気がして、なんだかな。


12日(金)
フィギュア関連(日仏)
お久し振りでございました。

挨拶文(仏日580語)
案件獲得のためのトライアルらしく、本依頼を受けることができれば、10倍の分量のが来る予定。

ID関連(日仏1件)
クロノで到着。書留で返送。朝8時半、目覚めて、コーヒーでもいれようと思っていると電話が鳴った。配達の人だった。我が家の特殊事情(なぜかうちだけインターフォンがない!)のため、発送時に電話番号を書いてもらっておいてよかった。電話してもらわなかったら、いつ受け取れたか分からない。

ID関連(日仏1件)
こちらは直接持ってきてもらい、そのまま持ち帰ってもらえた。


持ち越すもの1件。論文なんとかせなあかん。
土曜日は同業者の集いに参加の予定。

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2009年6月14日 (日)

stipuler

La loi ne stipule pas. Elle précise, édicte, dispose, etc. Par contre, les contractants stipulent leurs obligations dans un contrat.

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2009年6月17日 (水)

カモメ

カモメがずいぶん低いところを飛んでいた。同じところをぐるぐる回っているようだった。それが気になって、しばらくそのカモメを観察してみた。場所は町のど真ん中。

やがて、そのカモメは着陸地点を見定めて下りてきた。目的地は路上駐車の車と車の間らしいけれど、カモメが羽を広げて着地できるほどの隙間はない。というわけで、そこから少し離れた歩道に着陸した。

そこでは、ついさっきまでハトがたくさん集まって何かをついばんでいた。だけど、カモメが降下してくると、みんなばらばらに逃げていった。カモメが着陸、目的地まで何歩か歩いていった。そこには車に踏み砕かれたパンでも落ちていたんだろうか。カモメは大きな塊をくわえて、車のボンネットに上がってパンらしきものを食べた。

その間にハトたちがまた戻ってきていた。最初の塊を食べ終わったカモメがまたパンを拾いに来た。するとハトがまた逃げていった。カモメはまた大きな塊をくわえて、ボンネットの上で食べた。その間にまたハトたちが戻ってきて、カモメがパンを拾いに降りるたびに逃げて、ということが5回くらい繰り返された。

カモメが車のボンネットに上がっていると、道行く人たちが物珍しそうにカモメを見ていた。海辺の町に住んでいても、海岸まで行かない限りは数メートルの距離でじっとしているカモメを見ることはほとんどない(私が向かいの屋根のカモメを見るのも15メートルくらいは離れていると思う)。

交差点で赤信号になって停まっている車にカモメが飛び乗った時は、何人かが携帯電話を出して写真を撮っていた。なんだか笑ってしまった。

 

 

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分割睡眠

ヒトは毎日7時間程度眠る必要があると何かで読んだ。睡眠時間がそれより短いと、脳内で記憶の整理ができず、ひどい場合は起きている間に幻覚を見ることもあるそうだ。

私の場合、朝9時前後から営業を始めるとしたら、諸般の事情で夜間に7時間続けて眠るのが難しい。これまでは、眠らないでいて昼間に幻覚を見てしまうことで被る支障と、午前中休業していることの支障を天秤にかけて、後者に甘んじていた。ただでさえ、やらかし体質なのに、さらに幻覚なんか見てしまったらどうなるんだ。

ふと、7時間続けて眠るのではなく分けて眠ってもいいんじゃないかと思い当たった。これ、どうなのかな。1日のトータルで7時間ほど眠れれば記憶の整理はちゃんとできるんだろうか。もちろん、30分睡眠を14回なんていう極端な話じゃなくて、3時間から4時間の睡眠を1日2回とか、昼寝の時間を取るとか、そういう感じで試しにやってみようかな。

 

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2009年6月20日 (土)

翻:6月15日~19日(料金を高いと言われたり安いと言われたり)

後半が忙しかった。


15日(月)
手紙(仏日580語)
会合への参加を促す案内状。


16日(火)
商品案内(仏日300語)
カタログ? 参照できるウェブサイトがない会社のもの。

レストランメニュー(仏日3行)
過去に訳したもののアップデート部分のみ。


17日(水)
手紙(仏日99語)
アーティストから美術館に宛てたもの。

先日納品した小さな仕事について、翻訳会社のほうから請求金額を上げるように言ってくれた。基本的に私は請求の最低金額を設定していない。厳密に設定してはいないけれど、だいたい2ユーロを基準にして、それを下回る時は面倒臭くて請求しないことが多い(他の仕事があれば併せて請求する。単独なら他の仕事の誤差の範囲ということにする)。過去の仕事のアップデート(数語の修正)や1行、2行の翻訳など5分から10分くらいで終わる仕事は、翻訳会社のほうが依頼時や納品時に別途料金を尋ねてくれることが多い。多分、最低料金を設定している翻訳者さんがいるからだろう。これは請求しなくてもいいよな、と思うような仕事の料金を尋ねられたら、考えるのも面倒なのでたいてい2ユーロと答えることにしているのだけど、この料金だと「せめて5ユーロに」と言われることが多い。ありがたいことだ。


18日(木)
私信(仏日410語)
久し振りの翻訳会社の仕事。そこはイントラネットで発注から請求書送付までの作業が一元管理されているのだけど、久し振りすぎて使い方を忘れていた。そしたら、担当者さんからメールで指示が来た。どうもありがとうございました。

過去に取引したことのある会社から、午前中電話で叩き起こされた。寝ぼけながら英語で受け答えしていたら、料金をゼロ・セントと口走っていて(いえ、私じゃなくて私の口が悪いんですわ)横で夫が目をむいて笑っていた。見積もりを出したら高いと言われたんだけど、1語あたりの単価は前回の受注時と同じなんだけどな。無理して引き受けなくてもいいやと思って、こちらの譲歩できる金額を提示した後は放置。

別件で初めての会社から問い合わせがあった。その国の会社とはまだ取引したことがない。アメリカドルで支払う場合の料金を尋ねられたので、為替レートのことを考えて、ユーロに替えたときにいつもの料金になるような料金を提示したところ、高すぎる、下げられないかという回答だったのでこれも放置することにした。こういう問い合わせが続くなあ。

こっちはユーロ圏で生活してるんだし、ユーロに対してドルが安くなってるからって、ドルで決済する翻訳会社にそこまで配慮してあげなくてもいいやろ。しかし、私のほうが放置するなんて、3年前には考えられなかったことだなあ。(気忙しい時の問い合わせだと、あれこれ考えるのが面倒で、放置の傾向が強まる)


19日(金)
食品カタログ(仏日5700語)
いろいろ確認しなきゃならなくて、語数の割に時間がかかってしまった。おいしそうなものがたくさんあったんだけど、翻訳を読んでもおいしそうだと思ってもらえればいいけどな。

免税手続き案内(仏日76語)
店頭に掲示するのではないかと思う。

商品案内(仏日50語)
上の食品カタログと同じ翻訳会社から、同じ分野の商品案内が来た。一連のものかと思ったら違った。

私信(仏日100語)


持ち越すものゼロ! と喜んでる場合じゃないのか?
でも、論文のことが気になるから、向こう3週間は仕事なくてもいいや。

 

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2009年6月21日 (日)

司法通訳のあれこれ(その1)

先日、同業者の集いに参加してきた。正確に言うと、エクス控訴院に登録されている司法通訳の協会があり、それの総会に参加したのだ。私は警察や裁判所からの依頼で仕事をすることが少ないので、他言語の人たちの話を聞くと、いろいろ考えることが出てくる。論文にも関係ある話だし、書いておけば誰かが読んでくれる、意見をくれると思うので、以下とりとめなく書いてみる。


司法通訳(法定翻訳を含む)の仕事は、警察、裁判所、税関などの機関から要請されるものと、個人から直接依頼されるものがある。私の場合、前者は日本人が盗難被害に遭った場合の付き添い通訳や、日本に犯罪人の引渡しを請求するための書類の翻訳といったものが多い。これは、一律の決まった料金表にしたがって支払われる。幸いなことに私はこれまで県外に出かけて通訳したことはないけれど、言語によっては他県から呼び出されることもあるようだ。私がひっそり司法通訳各県1人運動をやってるのは、これも関係ある。後者(個人から直接依頼されるもの)は、滞在許可証申請や結婚のための書類翻訳、あとは結婚式の立会い通訳くらい。結婚式に立ち会う通訳は司法通訳者でないとダメだという市役所が増えてきているらしく、やっぱり各県1人はいてほしいところ。個人から直接依頼された仕事の支払いは、こちらの設定した金額で払ってもらっている。世間様の一部には法定翻訳や立会い通訳の料金が高すぎるという批判もあるようだ。個人的には、自分の料金が高すぎることはないんじゃないかと思ってるけど、どうかな? ま、頼むほうにしてみれば、もっと安い人を探したくても、各県1人未満の現状ではそれも難しいことだから、言い値のまま払っているんだという感覚を持ったとしても仕方ないかな。


市役所や裁判所など、通訳が必要となる日時があらかじめ調整できる場合はいいけれど、警察の仕事はいつも突然連絡がある。そして、警察は登録されている司法通訳の都合がつかない場合に備えて、独自のリストを作っていることが多い。

そういえば、先日、司法通訳の仕事について情報交換した学生さんは、警察からの身元調査があった際、その言語は通訳が不足気味だから登録されていなくても必要があれば連絡させてもらうことがあるかもしれない、とわざわざ言われたんだそうだ。

原則として登録されている司法通訳を使わなくてはならない刑事裁判と違って、警察は誰に仕事を頼んでもいい。司法通訳として登録されていないだけでなく、プロとしての登録も何もしていない人に仕事が回っていることもあるようだ。もちろん、警察の手続きに通訳として立ち会う場合は、その都度、公平な立場で任務にあたるという意味の宣誓をするのだけど、ひとつ疑問がわいてくる。

司法通訳の存在意義の1つに、被疑者の人権を守ること、というのがあるはずだ。だからこそ、登録されている司法鑑定人(司法通訳含む)には定期的に研修を受けて、知識の面でも、職業倫理の面でも、一定のレベルを保つことが求められているんじゃなかったのか? それから、プロとしての登録をしていない通訳者(平たく言うと不法就労している人ってことだね)を警察が働かせるというのは、それが例外的に1件、2件というならともかく、常態化しているのは何かが間違っているような気がする。
(ちなみに、フランスで一般的に司法通訳と名乗ってよいのがどういう人なのかはこちらを参照:
http://katasuminikki.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_5fc3.html

登録していない通訳についてはもう1つ問題がある。未登録の通訳への支払いが登録通訳よりも優先的に行われていることだ。そりゃ、例外的に手伝ってもらったのだからきちんと支払いますよ、という姿勢はまったくその通りだと思うのだけど、上に書いたように不法就労が常態化しているとなると、話はまったく違ってくる。

それから、つい最近こんなニュースがあった。

http://fr.reuters.com/article/topNews/idFRPAE55H0GF20090618
ヴェルサイユ控訴院は、5月末頃、今年の予算を使い切ってしまったのだそうだ。予算がなければ、必要な司法鑑定をしないで済ませることになったり、またはその費用を支払えなかったりして、「公正な裁判」が実現できないかもしれないなあ。


続く。

 

 

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2009年6月27日 (土)

司法通訳のあれこれ(その2)

司法通訳の協会の総会に参加して、他言語の同業者の皆さんからいろんな話を聞いて思うことの続き。


その1の後半に書いたのは、主に警察通訳の仕事が控訴院リストに登録されている人と登録されていない人との競合になっているという話だった。

司法通訳(法定翻訳含む)の皆さんの話を聞くと、控訴院のリストに登録されている司法通訳間にもいろいろあるようだ。協会に参加している人は全員が個人事業主または企業として登録していて、TVA(消費税19.6%)の納入義務のある人も多い。その1の前半にも書いたけれど、民亊部門で仕事を頼まれる時は、国が定めた一律の料金が存在しない。だから、それぞれの司法通訳が自分のレートで仕事している。

刑事分野(警察での手続きや刑事裁判)の場合、通訳の料金は国が負担する。民亊分野の場合、依頼者が料金を払う。とくに、民亊分野で通訳や翻訳が必要となる人には「誰が訳してもいいんちゃうん」と言いたいようなものなのに、役所や公証人がリストに載っている人でなくてはダメだ、翻訳にはハンコが必要だと言うから仕方なく依頼するんだ、と感じる人がいてもおかしくない。だから、頼める人が複数いれば、一番安い人に頼みたくなるのが当然だと思う。

もちろん、依頼者に選択肢がないことを分かっていて、わざと高い料金を設定している司法通訳がいれば、それは問題だと思うけど、私の知る限り、多くの司法通訳の人たちは本業でも通訳や翻訳に携わっていて、普段の料金で司法通訳や法定翻訳も引き受けているようだ。私もそうしている。普段の料金を高いと言われると、いちおうそれを生業としている者としては辛いものがあるけど、料金を払うのは依頼者だから、そういう感じ方をされても仕方ないな、くらいの想像力は持っているつもり。ただでさえ見積もりの料金を高いと思われがちなのに、破格の料金で市場に参入してくる同業者がいたら、これは勘弁してほしいと言いたくなるのも当然じゃないかな。

控訴院リストに登録されている通訳・翻訳者の中には個人事業主・企業としての登録をしていない人がいるようだ。総会で話題になったのが未登録業者との料金面での競合だった。先にも書いたように、民亊分野での料金は各人の裁量で決めることができる。登録業者の場合は税金(TVA含む)と社会保険料を払った残りで生活するのだから、あまり安い料金は設定できない。未登録業者はそうした義務のことを考えなくていいので、仕事獲得のために安い料金を提示できる。○語の通訳なら誰某さんが安い、という評判が○語話者コミュニティの口コミで広まると、他の人には仕事が回りにくくなる。当然のなりゆきだ。

司法通訳の選考では、刑事分野でのその言語の需要の有無を重要なポイントにせざるを得ないことは理解できる。特に司法鑑定人の登録が5年ごとの更新制になってから、これまで登録されていた人が更新しない/できないことが増えて、急遽新しい人を補充する必要のある言語だと、たまたまその年に出願していた未経験に近い人、フランスで語学学校を終えた程度の経歴しかない人が登録されて、登録された当人がとまどうなんていう例を見聞きした。

通訳・翻訳業で事業登録しているかどうかは選考の際にはあまり重視されない。需要の有無の次にポイントとなるのは、候補者の言語の運用能力(私なら日本語の運用能力)のようだ。だから、普段は会社員をしている人もいるし、普段は無職という人もいる。未登録業者が控訴院のリストに登録されることをおかしいとする議論は成り立たない(成り立たなかった)。まず、法令の規定によると、司法鑑定人として登録されるために事業登録は必須条件に含まれていない。それに、需要の少ない言語の場合、(司法通訳・法定翻訳に限らずとも)その言語の通訳・翻訳を合法的に営業するのが難しい事情もあった。つまり、稼ぎは少ないのに、本業または副業として営業すれば社会保険料の支払いが発生して、下手すると赤字になるという事情だ。だから、未登録業者の問題は、これまでは見逃されていたというか、容認されていたというか、見て見ぬ振りされていた。今年からはauto-entrepreneur(個人事業主)制度があるので、登録業者となって営業すると赤字になるおそれがあるから、という言い訳は成り立たないはず。本業が別にあるなら、副業として事業登録すればいいのだから。

というわけで、総会では、司法通訳協会から裁判所に対して、とくに通訳・翻訳の分野では事業登録していること(auto-entrepreneur含む)を条件にする、または候補者に事業登録を求めることを、要望として正式に提出したほうがいいのではないか、と提案する人がいた。結局、総会ではその案は提案されただけで、今後どうするとも決まらなかった(決めなかった)。auto-entrepreneurのことを知らないメンバーの人も案外多くいたようで、誰かから相談を受けたらその制度を勧めてみよう、という感じで納得している人もいた。皆さん、それぞれにいろんな相談を受けているのだなあ。


ところで、司法通訳・法定翻訳だけで生計を立てている人は、フランス中を見渡してもほとんどいないんじゃないかと思う。私が知っている範囲では、登録者が少ない言語でフランス中を飛びまわって仕事をしている人が1人いるのだけど、その人でも司法通訳・法定翻訳だけで暮らしているわけではないらしい。

未登録業者が鑑定人として登録されるのは通訳・翻訳分野だけの問題なのかな。たとえば、情報処理技術者(informaticien。フランスにはやたらたくさんいる)として未登録で営業している人は実際には少なからずいるようなんだけど、その人たちが鑑定人になろうと応募した場合、たとえば学歴だけで選考されるのかどうか。通訳・翻訳の場合は外国で生まれ育ったからその国の言葉ができます、程度でも通ったりするからなあ(現に私がそうだったからなあ)。


司法通訳間の競合は、登録事業者・未登録事業者間のものだけではない。長くなったので続きは後日。

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