Auto-entrepreneur
Auto-entrepreneurで検索してこのブログにいらっしゃる方が増えているようなので、補足的に少し書いてみる。
あくまで自分の興味のために書いているだけなので、起業に際しての調査は慎重に、自己責任でお願いします。とくにご注意いただきたいのは、この記事を書いたのは2009年4月でして、それからいくつかマイナーチェンジが行われています。気付いたものは注意喚起を兼ねて新しく日記に書いていますが、一番確実なのはURSSAFで確認することです。フランスで起業するのだから、日本語で得た情報だけでは物事を進められないと思うし。
先日、自分のためにauto-entrepreneur (AE)の制度を軽く確認してその内容をブログに書いた。 (PLからAuto-entrepreneurへの変更をしない理由 )
私個人の結論としては、現在の身分であるprofession libérale (PL)と比較してもとくにメリットがないので、現在のPL身分を継続する結論に達したという話なのですが、これから新規に起業することを考えている人は、まずはAEで始めてみてもいいのではないでしょうか。新規起業者はAEでなくてはならないというわけではなく、従来のPLや商業登録をすることももちろん可能なのですが、ある程度の取引規模が確実に見込めるのでないなら社会保険料のことを考えてもAEにしておくほうが気楽に始められるのではないでしょうか。また、最初はAEで始めて後からPLや商業登録に切り替えることも、もちろん可能。
起業に際しての大きな心配事は、「どれだけのお金を国に納めなくてはならないのだろうか」という点だと思います。AEで起業した場合、従来のPLや商業登録と違って、税金や社会保険料を取引額のパーセンテージで払います。したがって、従来と違って、収益があってもなくても支払うべき最低額、というものがありません。つまり、入金がなければ払うものもありません。 (2011.2.16 追記:ただし後述のCFEに注意。)
#利益が出なくても、入金があれば支払いが発生します。AEでは、100ユーロの仕事に経費が80ユーロかかっていても、20ユーロではなく100ユーロと申告するので、社会保険料の率が業種によって異なるのでしょう。
これがAEの一番大きなメリットだと思います。たとえば、従来のPLや商業登録だと、いくらか社会保険料などの減額措置が受けられるとしても、健康保険料だけは一切の減額や支払い猶予がなく、収益がないどころか赤字だとしても一定金額を支払わなくてはなりません(年間800~1000ユーロ程度か)。この一律の最低納入金額がないだけでも、気持ちの上では気楽に思えます。
PLについては、先日の日記の数字を見てもらうことにして、商品販売(ネットショップなど)に携わる場合の数字を見てみると、およそ次のとおり。
1.年商80000ユーロ未満の事業主が対象。
2.Regime fiscal micro-entrepriseの事業主、つまり、商品売買業なら年商80000ユーロ未満の事業主にはTVAの徴収・納入義務が発生しない。
3.家族1人あたりの25195ユーロ未満の世帯年収なら、所得税は発生しない。
家族1人あたりというのは、家族係数(quotient familial)のことと考えればよい。大雑把に言うと、世帯収入を世帯の構成人数(part)で割り算して算出した ものが家族係数。世帯の構成人数は、成人は1人あたり1、未成年の子供は1人0.5。夫婦に子供1人なら2.5。
先日の日記にも書いたとおり、AEは3ヶ月ごとに所得を申告する。 (2011.2.16 追記:所得の申告は3ヶ月ごと、または毎月、都合に応じて好きなほうを選べるらしい。要確認。そして所得税の扱いについて、この段落の内容を書き換え。)
所得税のオプションにチェックを入れてある場合、AEとして得た収入に対する所得税率は1%。チェックを入れずにAEの登録をした場合、AEとして得た収入もそれ以外の収入も区別されずに、通常の計算式で所得税が計算される。所得税のオプションにチェックを入れてあるが、結果として世帯の年間所得が非課税枠内にとどまった場合どうなるかというと、AEとして得た所得に対する1%というのは変わらないようだ。結果を見てから好きなほうを選ぶ、というやり方はできないのが普通だから。AEの所得税オプションはforfaitaireでありlibératoireと明記されている。forfaitaireとは具体的には一律の税額(1%)であり、取引金額などの条件によって税率が変化しない、という意味。libératoireとは、それにより「義務から解放する」という意味なので、ここで1%の所得税を納入すれば、この所得に関してはその後は問題にしない、という意味。ただし、この1%というのはAEとしての取引額のみにかかるものなので、その他の収入(給与や家賃収入など)がある場合は、従来の計算法で算出された所得税額を支払うことになる。また「その後は問題にしない」とはいっても、毎年の所得税のための申告用紙を見ると、AEで所得税のオプションにチェックを入れた場合の記入欄が別途設けてあるので、3ヶ月ごとの所得の申告に加えて毎年の申告も必要なようだ。
所得税のオプションにチェックを入れていない場合は、世帯収入の全額が従来の計算法の対象となる。AE以外ですでに課税ラインを超える収入がある世帯の場合、AEでの収入とAE以外の収入が区別されないため、1%という低い税率の恩恵を受けることができない。また、AEでの収入が加わることで、税率のランクが一段高くなる世帯もあるかもしれない。
というわけで、所得税のオプションにチェックを入れるかどうかは、各世帯の事情に合わせて判断すればいい。大雑把な言い方をすれば、AEでの収入があっても世帯所得が課税ラインを超えない場合はチェック不要(チェックを入れなければ所得税0%)、課税ラインを超える場合はチェックを入れておいたほうが節税になる。
4.社会保険料分として、取引額の12%を支払う。
つまり、100ユーロの取引額があれば12ユーロを納入するので、これを横に取り分けておけばよい。上にも書いたとおり、従来と違って最低納入額がないので。
5.商品売買業であれば、従来なら商業登録(RCSへの登録)が必要だったところ、AEで起業すればこの登録が不要。したがって、CCIではなくURSSAFで手続きをする。RCSはなくてもSIREN/SIRETは付与されるので、請求書などにはこの番号を書けばOK。ただし、業務内容によってはAEであること(RCSがないこと)により取引先の信頼が得にくいというようなことがあるかもしれないので、そこは事前リサーチが必要。
6.新規起業者に対する援助(Accre)が受けられる(前の日記には書かなかったけれど、PLで起業する人も、申請が通れば援助を受けられる)。申請すれば誰でも受けられるのかどうかは分かりませんが、希望者は申請してみてもいいのではないでしょうか。(私は起業時に申請しようとしてみたのですが、企業の継続可能性が低いという理由で申請書類すら受け取ってもらえなかったけれど、最近は事情が変わっているかもしれない)
注意事項としては、起業の書類を出す前にAccreの申請をする必要があるはずなので、まずURSSAFで確認してみてください。
7.AEの場合、取引額の申告を3ヶ月ごとに行なう。 (2011.2.16 追記:所得の申告は3ヶ月ごと、または毎月、都合に応じて好きなほうを選べるらしい。要確認)
会計関連の帳簿は、入金だけ時系列でまとめておけばよく、商品売買業なら一律71%で控除されるので、経費の支出を記録しておく必要はない。(個人的には、自分のために記録しておいたほうがいいと思うけどね)
8.副業としての起業は可能ではないかと思う(会社勤めが本業、副業でPLとして登録している人が従来存在していたので)。でも、外国人の場合、滞在資格によっては何か制限があるかもしれないので要確認(サラリエの滞在許可を持っている人が自由に起業できるのかどうか未確認)。
AEの登録方法に本業用・副業用の区別はない。本業か副業かは、あくまで起業者の心持ちの問題だと思う。とはいえ、他に本業を持っている人が副業を始める場合は、AEであるかどうかにかかわらず、業種に応じてURSSAFやCCIなどであらかじめ相談しておくほうが安心ではないか。社会保険料等の金額に差が出るかもしれないので。
(2011.2.16 追記:詳しく書きたいけれど時間がない)
9.Cotisation foncière des entreprises (CFE)については、こちらのページで要確認。
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コメント
はじめまして。
実は副業として起業しようかなと考えていたのでとてもためになりました。私はフランス人と結婚しているのでVisaの心配はないのですが、色々制約があると、本業のほうに支障がでたらいやだなぁとか色々考えて躊躇しています。外国で起業するのはたいへんそうですね。。
投稿: SaNi | 2009年4月26日 (日) 09時29分
SaNiさん、コメントありがとうございました。
事業内容によってはいくつか確認しなきゃならない点がありそうですね。起業すること自体はあっけないほど簡単だけど、事業として継続できるかどうかの判断が難しいかもしれません。どうしてもこれで稼がなきゃ、というのでなければ儲けは度外視して始めてみてもいいかもしれませんが。。。いろいろ悩むところですね。
投稿: Olivier | 2009年4月29日 (水) 14時58分
私もauto-entrepreneurで検索してこちらにきました。AEの申請書を目の前にして、迷いがあります。それはやはり事業として継続できるかということです。本当にこの事業がAEに適しているのか?ちゃんとやっていけるか?
もう少しじっくり検討しようと思います
投稿: お針子 | 2010年4月10日 (土) 20時26分
お針子さん、コメントありがとうございました。
何か新しいことを始めるとき、
それもフランスで書類関係をそろえなきゃならないときに
躊躇してしまう気持ち、分かります。
起業可能な滞在資格があって、
1件でも受注の可能性があるなら
まず始めてみてもいいんじゃないでしょうか。
始めれば、それが実績になるし。
投稿: cocotte | 2010年4月17日 (土) 11時42分
はじめまして。
Auto -entrepreneurを始めるにあたり、
こちらのブログの日記を参考にさせて頂きました。
お礼を申し上げたく、コメントを書かせて頂きました。
これからも有益な情報を発信し続けて下さい。
有難うございました。
投稿: | 2010年5月 5日 (水) 18時40分
わざわざコメントくださって
ありがとうございました。
PLほどにはハードルが高くないので
皆さん、どんどん起業なさったらいいと思いますよ。
お仕事、順調に軌道に乗っていきますように。
投稿: cocotte | 2010年5月 9日 (日) 17時11分