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2007年10月20日 (土)

独身証明書

アポスティーユを付した戸籍抄本の翻訳を打診された。依頼人に戸籍抄本の翻訳が必要なのか、仏語で作成された独身証明書が必要なのかを確認してもらうことになった。

アポスティーユとは、その原本が真正のものだと証明する目的で外務省が発行する書類。原本の最終ページに貼ってあって、英語(一部仏語)で書かれている。

通常、戸籍抄本・謄本の取得時に、わざわざアポスティーユを付すことはない。どういう時にアポスティーユを付けてもらうかというと、提出先が「アポスティーユを付したもの」と指定している時。具体的には、まあ、結婚やパックスする時くらいだろう。フランスだと、学校への登録、滞在許可の申請などのためには、アポスティーユは求められないと思う。

さて、結婚・パックスする時に、当事者の身分関連でどういう書類が求められるかというと、独身証明書、身分証明書(禁治産者でないこと、つまり法的に無能力でないことを証明)、あと外国人の場合は慣習証明書(パックスには不要?)か。独身証明書として求められるのはあくまでも「独身である」と明記された書類。そして、戸籍抄本・謄本には「独身」という文字は記載されていないので、独身証明書の代用にはならない。だから、在外日本公館で独身証明書を作成してもらう必要がある。

独身であることを証明するために、フランス人は出生証明書を提出すればOK。フランスの出生証明書は、簡単に言えば、世帯単位でなく個人単位の戸籍のようなもので、結婚・離婚・パックス締結・解除などの情報が1枚の紙にすべて記録されている。だから、それを見ればその人が独身なのかどうかが分かる。

日本人の戸籍抄本・謄本の場合、日本人なら常識として、その人が独身かそうでないかを判断できる。が、外国の当局が日本人の戸籍抄本・謄本を見て、結婚に関する情報が記載されていないからといって、手続として、その人を独身だと判断するわけにはいかないだろう。

もしかして、結婚・離婚歴のある人で、戸籍抄本・謄本にそれらの事項が記載されている人なら、一番新しい記載事項が「離婚」となっている時点で、(仏人の出生証明書と同じように)独身証明書代わりに扱ってもらえるかもしれないけど、どうかな?

あと、話はまったく変わるけれど、
日本人がパックスした場合、日本に届け出て、戸籍に反映させてもらう必要があると思っていた。でも、最近その点について某窓口に問い合わせした人によると、日本に届け出る必要はないという回答だったそうだ。その理由は、日本にはパックスという制度がないので届出があっても戸籍に反映できない、したがって届出の必要なし、ということなんだそうだ。つまり、フランスでパックスして暮らしている日本人は、日本側から見ると、単なる同居か同棲ということなんだろうか?

てことは、フランスでパックス、日本で別の人と結婚なんてことも可能なんだろうか?(こういうのって、実際裁判にならないと答えがないんだよな)

 

2009-06-16追記(Pacsをキーワードに検索してこのページにたどり着く方がなぜか多数いらっしゃるので):
パックスという制度についてはこちらの過去記事を参照してください。2001年の記事なので情報として古くなった部分もありますが、そもそもパックスとはどういうものなのか、基本的な部分は現在にも通用する話だと思います。

 

 

追記:コメントに対する返信です
(サーバで弾かれてしまい、コメント機能が使えません)

こねこさん、コメントありがとうございました。

せっかく教えていただいたのですが、2007年以降は出生証明書にパックスについて記載することになっています(民法515-3-1条)。こねこさんたちは、それ以前にパックスなさったのでしょうね。

パックス中の日本人が日本で結婚した場合なんですが、話は簡単ではないんですよね。

フランスの裁判所が日本人の日本での結婚について知るのは、何か裁判になった時やどちらかが亡くなって相続の話が持ち上がった時でしょうね。それ以外では、私もどういうケースがあり得るのか思いつきません。

フランスでの裁判(相続)だった場合、日本での結婚のほうを無効と判断することがあるかもしれません。その人はフランス法ではパックス中だから結婚できない状態にあったとみなされるのが普通だからです。(たとえば、結婚後にパックス中の者として行動した人、何らかの事情で結婚日に遡って解消しないほうが社会正義にかなうと思われる場合など)

日本での裁判(相続)なら、フランスでパックス中の人であっても日本法では結婚を制限する理由がないので、結婚を有効として、こねこさんのお考えのように、遡ってパックスは解消している、とするかもしれません。でも、裁判になった理由によっては、違う考え方になるかもしれません。

というわけで断言はできないんです。

念のために書いておくと、制度より社会の実態のほうが進んでいて(法律で想定していなかった事態が現実に起きていて)、裁判になってみないと分からない事態は他にいくらでもあるので、パックス関連法がとくに不備だというわけじゃありませんよ。

 

 

追記その2:コメントに対する返信です
昨晩上のように書きました。読み直して、もう少し補足します。

まず、2007年1月1日以前に成立していたパックスについては、パックスを受け付けた裁判所が各市役所に通知し、市役所の担当者が該当者の出生証明書に記載することになっていました。この手続は2008年6月末までに完了させればよかったので、こねこさんのご主人の出生証明書にはまだ何も記載されていなかったのでしょう。

それから

フランスでの裁判(相続)だった場合、日本での結婚のほうを無効と判断することがあるかもしれません。その人はフランス法ではパックス中だから結婚できない状態にあったとみなされるのが普通だからです。

この部分なんですが、
裁判になった場合は、この人が日本で結婚するつもりでいること/結婚したことをパートナー(や事件の当事者)が知っていたかどうかがポイントになるのではないかと思います。パートナーは結婚の予定を知らされたり、結婚したことを伝える手紙が届いたけれど「どうせ相手が結婚したらパックスは解消されるのだから」と気にせず放っておいた場合、これをパックス解消手続の一部に準ずるものと判断されるのかどうか。

通常、自分ひとりの意志でパックスを解消したい場合、その旨、法廷執行吏からパックスパートナーに通知します。執行吏は同時に裁判所にも通知します。この通知をパートナーが受け取った日から3ヵ月でパックスが解消されます。

パートナーのいずれかの結婚をもってパックスが解消される場合、それは結婚を執り行なった市役所から裁判所に通知され、パックス解消となります。2007年以降はフランス人の出生証明書にパックスに関する記載をすることになったと書きましたが、この記載がされてはじめてパックスが成立します(publicité/公知の手続が必要になりました。といっても、どこかに貼り出されるというわけじゃありません)。だから、解消についても、出生証明書の記載が抹消されてはじめて手続完了なんです。

フランス人の結婚なら、先に書いたように出生証明書をみればパックス中かどうか判断できるからいいんですが、パックス中の外国人が結婚した場合が問題なんですよね。何が問題かというと、

1.フランスにおける結婚手続の必要書類だけでは、その外国人がパックス中だと判断できないことがある。
2.フランス国外で結婚した場合は、まったく関知できない。

それで、話は振り出しに戻っちゃうわけです。

 

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コメント

かなり前の記事ですが、少し気になりましたので、情報提供ということでコメントさせていただきます。

PACSに関しては、フランス人の出生証明書にも反映しません。私はPACSを経て結婚しましたが、結婚手続きのためにとり押せた旦那の出生証明書にはPACSに関する記載は全くありませんでした。

PACSでの滞在許可証は独身と書かれていますし、あくまでも財産上のつながりでしかないので、フランス人の出生証明書にも何も書かれないものと察しています。

日本で別の人と結婚ということに関しては、それがわかった時点で、日本での婚姻年月日にさかのぼってPACS解除になると解釈しています。パートナーのいずれかが結婚したら解除ということになっていますので…。ただ、どういった状況でフランス裁判所当局に日本での婚姻が知らされるかといったことについては皆目見当がつきませんが。

投稿: こねこ | 2008年9月30日 (火) 18時20分

この記事へのコメントは終了しました。

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