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2001年6月25日 (月)

不合格の理由と論文の書き方

民法担当の先生が試験結果に関する質問を受け付けるというので、友人と誘い合って大学に行きました。この科目は20点満点中3点という結果で、今までの最低記録を更新してしまいました。追試で再度不合格だと嫌なので、指導してもらった方がいいから。今期の試験で、私のクラス(350人クラスでーす)の大半が民法(不法行為責任・準不法行為責任という科目名でした)と公法(第5共和制憲法、つまり現行の憲法)の2科目を落とし、これらの科目担当者は「採点が厳しい」という学生間の評価を更に高めてしまったようです。

さて、私の不合格の理由ですが、試験後すぐに質問とずれた回答をしたことに気付いていました。で、先生の説明によるとやはりそれが理由だったので、不合格は不合格なんだけどちょっと安心しました。もし、書いた内容が間違いだらけだったとしたら、1学期間何をしてたんだ?と自分でも悲しくなるところでした。今日来ていた学生同士で情報交換すると、不合格なのは、私のように「問題に即していない」人と「掘り下げが足りない」人が圧倒的に多かった。

フランスの論文の書き方と日本の論文の書き方は多分違うと思います。日本ではまともに論文の「書き方」なんか学ばなかったから「違う」とは言い切れませんが。アメリカの書き方とも違うそうです。語学講座では「起承転結」式の論文の書き方を習いました。「序論」があって、本文は2部構成(あるいは3部構成)で、最後には必ず「結論」を述べるタイプです。この時点で、すでにアメリカ人学生が文句たらたらだったのを覚えています。曰く、自分はいつもこの書き方(アメリカ式)をしているのに!どうしてフランスの論文は別な方法で書かなければいけないんですか!と八つ当たりもいい所でした。話がそれてしまったけれど、これはフランスの高校で学ぶ書き方だったわけです。というのは、大学付属の語学講座は「学部の授業でやっていけるだけの仏語力(特に筆記)を身につける」のが目的だったからです。私は「経済コース」だったのでそれ用の論文の書き方を習ったんですが、「文学コース」では違う書き方を学ぶかもしれません。というのは、ニース大学の語学講座には文学コースの一番上のクラスが文学部DEUGの1年目相当と見做されるので、このクラスに合格すれば、ニース大学文学部の2年目に直接編入できるのです。だから、そのクラスでは文学部の学生と同じ論文の書き方を習っているはずです。(この特典が他大学にも適用されるかどうかは不明)

話を元に戻して、法律の世界の論文の書き方は「起承転結」ではありません。序論の後には本文ですが、本文は2部構成で、各部自体も2部構成にします。結論は絶対につけないのがお約束です。序論では、与えられたテーマの各語の説明をし、テーマを自分なりに解釈した後、問題提起をします。その後に、論文の大まかな流れを提示して、本文に入ります。各部には短いタイトルをつけなければなりません。中身を読む前に序論の問題提起と各部のタイトルを見れば、筆者が何を書こうとしているかが一目瞭然になるのが理想。これらはすべて「お約束」なので、踏襲しなければ減点です。試験の時だけではなく、学術論文もすべてこの形式の応用で書かれています。必ず2部構成にしなければならないのが頭痛の種です。それでも何とかしなければなりません。例えば公法では「第5共和制憲法における立法手続について」という主題が与えられました。簡単に言えばどうやって1つの法律が成立して施行されるか、ということです。私はこれを審議の前後と大きく2つに分けることにしました。

序論では、立法権は議会にあること、憲法によって「法律(loi)」の範囲が定められていること、法律は憲法を尊重していなければならないこと、などを説明しておきます。問題提起としては「議会は立法手続において独立しているか」としました。

本文の第1部は「議会における投票まで」ですが、ここで書きたいのは行政権力がかなり介入するということ。1は「行政権力の頻繁な介入」として、草案は議員から提出されるだけでなく、閣議の決定も提出されること、さらに閣議における議題は大統領が決定すること、内閣のメンバーは議会に出席し発言もできること、大統領は出席・傍聴はできないけれど書面で議会に向けたメッセージを送れることなどを説明。2は「二院間の調整」として、両院が同一文言の法案を可決しなければならないこと、修正が必要な場合の両院のやり取り、長引いて仕方がないときは両院から選出された議員が構成する委員会の決定が採用されること、委員会でも決着がつかない場合は国民議会の決定が採用されることなど、細かいやり取りを説明。

本文の第2部は「投票後施行まで」ですが、ここでも外部からの介入があります。1では「合憲性の審査」として憲法評議会のメンバー構成(大統領、両院議長が指名する)、評議会への提訴(大統領、首相、両院議長、両院議員60人以上が提訴できる)について述べ、2では「施行まで」として、大統領は公布前に条文の修正を要請できること、大統領は採択後2週間以内に公布しなければならないこと、公布時には大統領の他、関係する大臣が署名しなければならないこと、官報に掲載後すぐに施行されることを説明。問題提起に対応させて「いやいや、三権分立なんていうけれど、議会はちっとも独立なんかしてないんですよ」と結論を書きたいところですが、それを書いてはいけません。もっともらしい理由として、法律は生き物だから今日結論と考えられることが明日にはもはや結論になり得ないことがある、というのがあるんですが、私はまだ勉強を始めて1年未満なので、この点についてはよく分かりません。

1年目ではこのくらい書ければ合格、ということで紹介してみました。日本語として適当でない部分があるかもしれません。ご容赦願います。変な部分を知らせていただければ、なお嬉しいです。

 

 

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コメント

あー、懐かしい。弁証法ですねー。
法学部仕様のコピーの書き方って、全国共通なんですね、やはり。

投稿: kurt | 2017年7月 6日 (木) 07時27分

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